自治体や企業などでも導入したり検討したりしているところもあります。
今回は小型風力発電においての、導入費用や維持コストをご紹介させていただきます。
小型風力発電の導入費用
風力発電には種類や大きさがあります。
その中で小型風力発電と言われる物は、風車の直径が16m以下であり、受風面積が200㎡以下のものであり、電気事業法においての出力規模が20kW未満の発電設備のことを言います。
風力発電のメーカーとしては、三菱重工が大手であり、その他にグローバルエナジー・ゼファー・WINDPROが小型風力発電のメーカーとしては有名です。
家庭の庭などに設置する程度の大きさのタイプだと50万円~100万円前後の価格となります。
しかしこれが土地に設置して、本格的に風力発電として電気をまかなうために使おうとなると、さらに大きな風車のタイプを設置することとなるでしょう。
建設費用は1kWあたりで22万円ほどであり、20kWタイプとなると単純計算で440万円です。
さらには土地に設置しますので、もし土地を購入するとして数百万円かかるのは間違いありません。
設置するとなると騒音が発生しますので、人や建物の無い土地を選ばなければなりません。
場合によっては風車を建設するための費用も必要です。
このようなことから、少なくとも数百万円から1,000万円は初期費用としてかかる計算です。
ただし1,000万円も用意できないという方もいるでしょう。
そんな場合は、もう少し発電能力の少ないタイプにすると、本体価格を安く抑えられます。
- 発電能力1500Wタイプ : 価格は50万円程度
- 発電能力600Wタイプ : 価格は20万円程度
- 発電能力400Wタイプ : 価格は10万円程度
これぐらいの発電能力のタイプとなると、本体価格も安いですが、風車自体も小さく自分で組み立てて設置することも可能です。
ただしコンパクトではありますが、騒音対策をしていないので、音がうるさいという特徴があります。
導入費用としては、本体価格や土地や組み立て設置費用の他に、別途メンテナンス費用もかかる場合があります。
本格的な風力発電を設置するなら、メンテナンス費用もチェックしましょう。
最近では風力発電に適した土地と風力発電設備がセットになって販売されているケースも多いです。
このような場所なら騒音問題も起きにくく、また風も安定して吹くような場所なので、小型風力発電を設置しても想定通り発電してくれる可能性が高いです。
メンテナンス費用
風力発電も使用していけば劣化しますので、メンテナンスが必要です。
メンテナンス費用は年間で1kWあたり6,000円ほどかかると言われています。
しかしこの金額は一般的な金額であり、実際に風力発電は運用してみないと何が起こるかわかりません。
- ローターが破損する
- モーターが壊れる
- オイルがなくなる
- 思ったよりも風車が回らない
このようなトラブルも起きるかもしれません。
小型風力発電に限っては、2016年現在ではほとんど日本国内で販売実績がないために、どのようなメンテナンスを行うべきか明確になっていないので、実際にいくら費用がかかるかは不明です。
このためにメンテナンス費用は多めに予算を見ておいた方が無難と言えます。
また風力発電は台風が大敵であり、台風が来ればローターの回転を止めて、必要以上に回らないようにするという事も出来ますが、場合によっては強風で羽が折れて取れてしまうこともあります。
当然ローターの羽が壊れれば本体ごと交換となります。
収益予想
風力発電を投資として設置する場合は、固定買取制度という制度がありますので、発電した電気を売ることが出来ます。
発電能力20kW以上の場合は1kWhあたり22円、20kW未満の場合は1kWhあたり55円と2倍以上お得です。
さらに買取り期間は20年と長く買取りが行われます。
実際に発電能力1kWの風力発電を設置したら、どれぐらいの収益になるか計算してみます。
条件として設置費用が22万円、年間メンテナンス費用が0.6万円と仮定します。
また風力発電に向いている風が年中吹くような条件の良い場所で稼働させたとして、発電効率は20%と仮定します。
1日の発電量 : 1kW×24時間×20% = 4.8kWh
1年の発電量 : 4.8kw×365日 = 1752kWh
1年の売電の収入 : 55円×1752kWh = 96,360円
これが1年間の収入となります。
また1年目は建設費用が22万円、メンテナンス費用が0.6万円かかり、2年目以降はメンテナンス費用の0.6万円のみがコストになります。
1年目・2年目・・・と収入と収支の関係はどうなるか見てみましょう。
1年目 : 9.6万円 – 22.6万円 = 13万円の赤字
2年目 : 9.6万円 – 13万円 + 0.6万円 = 4万円の赤字
3年目 : 9.6万円 – 4万円 + 0.6万円 = 5.6万円の黒字
このようにして、3年目からは順調にいけば黒字になる計算です。
発電能力20kW以上だと電力の買取単価が22円/kWほどと低く、黒字になるには2倍近くかかりますが、発電能力20kW未満だと買取単価が高いので、早く黒字に出来るのです。
ただこれは1年365日、毎日24時間風車に適した風が吹いて休みなく発電した場合なので、実際に設置すると発電効率が15%や10%となり、黒字になるまでにもう少し年月がかかるかもしれません。